硫黄島からの手紙
『硫黄島からの手紙』(いおうじまからのてがみ[3]、Letters from Iwo Jima)は、2006年のアメリカ合衆国の戦争映画である。『父親たちの星条旗』(Flags of Our Fathers)に続く、第二次世界大戦における硫黄島の戦いを日米双方の視点から描いた「硫黄島プロジェクト」の日本側視点の作品である。劇中の栗林忠道陸軍大将の手紙は、彼の手紙を後にまとめた『「玉砕総指揮官」の絵手紙』(栗林忠道・著 吉田津由子・編)[4]に基づいている。監督やスタッフは『父親たちの星条旗』と同じくクリント・イーストウッドらがそのまま手掛けた。当初のタイトルは『Red Sun, Black Sand』。ワールドプレミアは2006年11月15日に日本武道館で行われた。また、日本国内でテレビスポットにHDが採用された最初の作品である。
ストーリー
2006年、東京都小笠原諸島硫黄島。地中から発見された数百通もの手紙。それは、61年前、この島で戦った男たちが、家族に宛てて書き残したものだった。届くことのなかった手紙に、彼らは何を託したのか。
太平洋戦争の戦況が悪化の一途をたどる1944年6月、小笠原方面最高指揮官・栗林忠道陸軍中将(渡辺謙)が硫黄島に降り立った。本土防衛の最後の砦とも言うべき硫黄島の命運が栗林率いる帝国陸軍小笠原兵団に託された。着任早々、従来一般的であった水際防衛作戦を一蹴し、内地持久戦による徹底抗戦に変更、また部下に対する理不尽な体罰を戒めた栗林に兵士たちは驚きの目を向ける。今までのどの指揮官とも違う男との出会いは、硫黄島での日々に絶望を感じていた応召兵・西郷陸軍一等兵(二宮和也)に、新たな希望の光を抱かせる。
栗林は水際防衛や飛行場確保に固執する海軍軍人らの反対や突き上げを抑えながらも、硫黄の臭気が立ち込める灼熱の島、食料も水も満足にない過酷な状況で、掘り進められる地下陣地。張り巡らせたこのトンネルこそ、アメリカ軍を迎え撃つ秘策だったのだ。
1945年2月19日、ついにアメリカ軍が上陸を開始する。その圧倒的な兵力を前に5日で終わるだろうと言われた硫黄島の戦いは、36日間にも及ぶ歴史的な激戦となった。まだ見ぬわが子を胸に抱くため、どんなことをしても生きて帰ると誓った西郷、そして彼らを率いた栗林もまた、軍人である前に夫であり父であった。
61年ぶりに届く彼らからの手紙。そのひとりひとりの素顔から、硫黄島の心が明かされていく。
キャスト
- ※は実名で登場する、実在した人物(階級は当時のもの)
- 栗林忠道陸軍中将:渡辺謙 ※
- 西郷昇陸軍一等兵:二宮和也(嵐)
- 西竹一陸軍中佐:伊原剛志 ※
- 清水洋一陸軍上等兵:加瀬亮
- 伊藤海軍大尉[10]:中村獅童
- 藤田正喜陸軍中尉:渡辺広 – (栗林の副官) ※
- 谷田陸軍大尉:坂東工 – (西郷ら所属の機関銃中隊長)
- 野崎陸軍一等兵:松崎悠希
- 樫原陸軍一等兵:山口貴史
- 大久保陸軍中尉:尾崎英二郎
- 花子:裕木奈江 – (西郷の妻)
- 大杉海軍少将:阪上伸正 – (実際の市丸少将の前任者は松永貞市海軍中将)
- 小澤陸軍一等兵:安東生馬
- 遠藤陸軍衛生伍長:サニー斉藤
- 大磯陸軍中佐:安部義広
- 岩崎陸軍憲兵大尉:県敏哉 – (清水の憲兵時代の回想に出てくる上官)
- 足立陸軍大佐:戸田年治 – (摺鉢山地区指揮官。相当する人物は旅団司令部附の厚地兼彦陸軍大佐または守備隊長松下久彦陸軍少佐)
- 林陸軍少将:ケン・ケンセイ – (実際の旅団長は大須賀應陸軍少将から千田貞季陸軍少将に交代)
- 市丸利之助海軍少将:長土居政史 ※
- 愛国婦人会の女性:志摩明子
- 海軍兵:諸澤和之
- 日本兵:アキラ・カネダ
- 犬の飼い主の女性:ブラック縁
- サム:ルーカス・エリオット – (捕虜となる海兵隊員)
- アメリカ陸軍将校:マーク・モーゼス – (栗林の回想シーンで登場)
- 上記の将校の妻:ロクサーヌ・ハート
- 火炎放射で焼かれる日本兵:サイモン・リー – (声はミチ・ヤマト)※wikipedia参照